「脳死・臓器移植」を考えた市民パネルの活動記録 −専門家との対話から市民の提案へ−
「法改定に向かっての動き」資料
市民参加研究会(2005年2月5日)
# この資料は、第1日目、専門家の回答をめぐる質疑の中で、ある市民パネルメンバーから求められたものに応えるものです。法改定に向かう動きの整理自体、一定の考え方を反映するものと見られます。ここでは、事務局がIIがあることに注意し、Iに示すような考え方で、ごく要点を説明者と相談の上まとめました。この資料は、私たち事務局のイベント運営についての批判を受ける際にも、適切であったかどうか検討されることになるでしょう。
# 一般には「法改正」という言葉が使われています。しかし、ここでは、さまざまな立場がありうることを考えて、「改定」という言葉を用いました。
I この資料では、法改定への動きの中で、現行法と、法改定に向けて出されている三つの案を次の二つの点にしぼって、整理します。なお、Bの課題の中で、子どもの臓器提供に関わる点にも触れてあります。
A 脳死は人の死なのか。B 本人の臓器提供の意思表示は必要か。
(1)現行法
A 脳死が人の死であるのか、解釈は定まっていません。
なお、第1日目の専門家の一人、辰井聡子さんの説明では、現行法上「脳死は人の死である」とのことでした。これは一つの有力な説です。
B 本人の書面による意思表示が必要。
(厚生省ガイドラインによれば、この意思表示は15歳未満の者には認められず、脳死下の臓器提供は出来ない。)
(2)臓器移植の法的事項に関する研究 (1)-特に「小児臓器移植」に向けての法改正のあり方(いわゆる町野班報告)町野朔ほか編『臓器移植法改正の論点』所収
A 脳死は人の死である。
B 本人の拒否の意思表示がなければ、遺族の書面による承諾で臓器摘出が可能(このとき、死亡した者が未成年者であるときは、承諾する遺族は親権者であった者とする)。
http://www.lifestudies.org/jp/machino02.htm
(3)森岡正博・杉本健郎「子どもの意思表示を前提とする臓器移植法改正案の提言」(いわゆる森岡・杉本案)
A 脳死が人の死であるかどうかは本人が選択できる。
B 本人の書面による意思表示が必要(ただし、意思表示可能な年齢を12歳以上ないし6歳以上とし、15歳未満の場合には親権者による事前の承諾も必要とする)。
http://www.lifestudies.org/jp/moriokasugimoto-an.htm
(4)河野太郎「臓器移植法改正に関する河野私案について」
A 不明。
B 本人の拒否の意思表示がなければ、遺族の書面による承諾で臓器摘出が可能。
http://www.taro.org/activities/opinion/organ.html