本シンポジウムの主催者は、2002年から3年間、JST社会技術研究事業で助成されているプロジェクトであり、科学技術政策形成を支援する「開かれた」システムを提言することを目標としている。研究の最終年度に当たって、私たちは欧米から、ことに参加型TA、参加型手法のプラクティショナー(実施経験者)を招き、6月24、25日とプロジェクト・チーム内のワークショップを開催する。ここに招く3人のプラクティショナーは、それぞれ、参加型手法・制度に関する知識だけでなく、実際に運用してきた経験と智恵をお持ちであり、その講演は、当プロジェクトにとって、日本における「開かれたシステム」を提案する上で、貴重なものである。しかしながら、この貴重な機会を広く、科学技術政策形成過程の改善、ことに参加的側面に興味・関心を持つ聴衆に「開く」ことは大きな意義があるものと考え、ここに公開シンポジウムの形を取ることとした。
日本ではまだテクノロジーアセスメントは制度化されていないが、ヨーロッパでは、アメリカのOTAの影響を受けて議論が進み、80年代半ば以降、TAのための機関が設立されてきた。ヨーロッパからの二人の講演者は、それぞれ、デンマーク、スイスのTA機関で責任ある立場にあるが、クリューヴァー氏はことに、手法、制度について広い知識と経験をもっている。クレイトン氏は、永年、合意形成手法を研究・実践してきた人物であり、ファシリテーター、モデレーターの経験を積んでいる。
本公開シンポジウムは、知識の面ばかりでなく、特に実践経験の面から、手法、制度、意義について論じていただくものである。その経験は直ちに日本において使えるものではないだろうが、多くの示唆を得ることができることを期待している。多くの参加者の皆さんと共に、3氏の講演を聞きたい。広く、科学技術政策形成、また、それへの多様な参加に関心を持つ方々の参加をお待ちする。